Seven day



「竜崎」
「はい」
「どうしてお前はLなんだ」

「……夜神くん」
「ん?」
「どうしてあなたはキラなんですか?」


((もしもお前が))

(キラでなければ)
(Lでなければ)


ふたりは一週間に一度くらい、そんなことを考える。
でも残りの六日間は考えない。
月とLは聡明で想像力豊かであるが、とても合理的なので無駄と思えることはしないのだ。

優秀な二人が全力で真実を追い求めている。
想像のなかで山彦のような遠くへの無為の問いかけをしなくとも、いずれ真実は白日に晒されるだろう。

なにごとにおいてもタイミングは重要だ。
特に出会いは、それがすべてであると云っても過言ではない。
すでにLと“キラ”容疑者として出会ってしまった二人はお互いの手首に絡んだ手錠の重さを感じるたびに、一週間に一度、ほんの数分の会話ほどのなかで「可能性」を思い出す。そのとき、まるで冗談を交わすように、「可能性」を逆説的に訊いてみる。どうしてと云ってみる。
どうしてキラなのか。
どうしてLなのか。
そうして、いま、どうして、このときに出会ってしまったのか。LがLではなかった頃、月がキラではなかった頃、 どうして出会わなかったのか。訊いてみたくなる時がある。
理由はわかっている。
多分、ぬくもりを知ってしまったせいなのだろう。
けれどそのことについて言及するつもりは、ふたりともにない。

真相だけを求めている。
真実だけがふたりを解放する。
解放されることを祈る。
そんな一週間を繰り返す。


fin