05. 学ぶ
ノートに様々な死の状況を書いてみる。
書いたとおりになることと、
ならないことがわかっていく。
僕の死はここに書かない。
死神が書くのだから。
06. 電車
ちくしょう、ちくしょう!
あいつを絶対に屈服させる!
表面上は何事もない様子を装った青年と、
様々な感情を乗せた電車は健やかに走る。
07. ペット
道端に蹲る黒い猫を撫でてみた。
最初は喉を鳴らして喜んでいたのに、突然指をひっかいた。
甘い顔をすると牙をむく猛獣。
背後のおまえは?
08. 癖
空っぽになった皿をしつこくフォークでつついていた。
癖になるほど上等な菓子だったのだ。
ごちそうさま、と、月はまだ言えないでいる。
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